手負いのコンマスが帰ってきた。
傷ある男、ってだけでもセクシーなのに、波打つ髪の毛はそれに拍車をかける。マ界にはあまり見かけないタイプだ。
そりゃぁね、学生の頃と社会人では、時間や財力の余力とのかねあいで魅せ方を心得た大人が増える。わかってることなのよ。
でもね、手負いの獣は、「今は動かさないとだめな時期」と言うドクターの言葉を信じ、リハビリに励もうと練習に現れたが、「動かすと痛くて、中で炎症起こしてるかも」と言い出し、「だからトリルなんか無理」と、泣き言を吐く。たしかに、例えて言うにハイポジのトリルや重音なんてエッグカッターに指押し付けるようなものだし。低音系の白丸旗なし加線なしの楽譜と違い、指いれにも莫大な時間と工夫がいるのであろう。魅せ方を心得た手負いの獣がそんな風に語れば、まんまと心配しちゃう中年おばさんの性。
いかん、みためにやられるな!やつは、一人で違う楽譜を弾き始めて失笑をかったんだぞ!お茶目とリハビリを並べていいのか!私っ?
平常を保つために、そんなドリン属を見渡す。
コンマス不在の間守り抜いた大きい男がそそと下がってクールに奏でる。その大きい男になんのてらいもなくずけずけものが言える女子が微笑みをたたえておる。必ずハイッってこたえるサブ席に座る子は 、その教科書的な真面目さゆえに練習後、イケジョに「1stの全体指示もう一度お聞きしてもいいですか」と喰らいついていたりする。でも、コンマスにも、米津玄師にも、ドリン属の面々にも当てはまることだが、学生時代とは違ったミーツならではの魅せ方を心得た大人たち。そんな、大人たちにイケジョはひっかからない。
「わかんないよー?!裏があるかもよー?!」と。
狐か狸か…。いや、そんなことはないであろう…。いや、そうなのかも…。あぁ、こんなこと悩んでないで、譜読みを頑張るべきでないの?イケジョの揺れ動かない精神力にハートの眼差しを送る諜報員とならんで、私も彼女を見習うべきではないか?
そんなこんなで、meets.はつづくよどこまでも。みんな米津玄師(デビューに比べるとそーとーかっこよくなってなぁい?)にみえる中年おばちゃんのなべちゃんでした。